つまずいても転ばない、 人間の転倒回避メカニズム ‐骨密度と転倒の関係‐
転倒は、特に高齢者にとって、骨折や寝たきりの原因となる深刻な問題です。
しかし、つまずいたり、よろけたりしても、必ず転んでしまうわけではありません。
実は、私たちの体には、転倒を回避するための驚くべきメカニズムが備わっているのです。
そして、転倒による骨折のリスクを高めるのが、「骨密度」の低下です。
今回は、骨密度と転倒の関係、そして、もし転倒しそうになっても体を守ってくれる「転倒回避メカニズム」について、3つの戦略に分けてご紹介します。
※今回、少し難しいお話になるかもしれませんので、ご了承ください。

‐骨密度って何?‐
骨密度とは、骨の強さを示す指標です。骨密度が低いと、骨がもろくなり、骨折しやすくなります。
これが「骨粗鬆症」です。
骨密度は、加齢や閉経(女性ホルモンの減少)、運動不足、栄養不足などによって低下します。
‐骨密度が低いと、なぜ転倒時に骨折しやすい?‐
骨密度が低いと、骨の中がスカスカの状態になり、わずかな衝撃でも骨折しやすくなります。
転倒した際に、手をついたり、尻もちをついたりしただけで、骨折してしまうこともあります。
しかし、骨密度が低くても、転倒しなければ骨折はしません。
そこで重要になるのが、「転倒回避メカニズム」です。
‐転倒回避の3つの戦略‐
1. 床反力制御:足首の力でピンチを脱出!
つまずいて体が前に倒れそうになった時、あなたは無意識のうちに足首に力を入れて地面を蹴っていませんか? これが「床反力制御」です。
- 状況: つまずきなど、比較的小さな不意な衝撃を受けた時。
- 体の使い方: 立っている方の足の足首を強く底屈(つま先を下げる)させる。
- 例: つまずいた時に、足首をグッと伸ばしてバランスを取る。
- ポイント: ふくらはぎの筋肉を鍛えることで、この能力を高められます。

2. 目標ZMP制御:股関節でバランスをキープ!
体が大きく傾いた時、足首の力だけでは支えきれません。
そんな時は、股関節を使って体の傾きを調整する「目標ZMP制御」の出番です。
- 状況: 大きくよろけるなど、床反力制御だけでは対応できない時。
- 体の使い方: 股関節を伸ばすことで、上体を前方に加速させ、ZMP(重心のようなもの)をコントロールする。
- 例: よろけた時に、腰を引いたり、上体を反らせたりしてバランスを取る。
- ポイント: 股関節周りの筋肉(お尻や太ももの筋肉)を鍛えることが重要です。

3. 着地位置制御:次の足の位置で未来を変える!
転びそうになっても、まだ諦めてはいけません。
次の足をどこに着くかを調整する「着地位置制御」で、転倒を回避できる可能性があります。
- 状況: 床反力制御や目標ZMP制御でも対応しきれない時、または歩行を継続したい時。
- 体の使い方: 次の足の位置を、予定していた場所よりも前や後ろにずらす。
- 例: つまずいた時に、大きく一歩踏み出してバランスを立て直す。
- ポイント: バランス感覚だけでなく、歩行能力全体を高めることが大切です。

‐複数の戦略を組み合わせて転倒を防ぐ‐
人間の体は、これらの3つの戦略を単独で使うだけでなく、状況に応じて組み合わせて使っています。
まるで、熟練の職人のように、最適な戦略を瞬時に選択・調整しているのです。
よって、骨密度が低くても、転倒回避メカニズムがしっかりしていれば、骨折のリスクを減らすことができます。
‐年齢とともに衰える? でも大丈夫‐
残念ながら、加齢とともに転倒回避能力は低下する傾向があります。
しかし、トレーニングによって改善することも可能です。
- 運動: ウォーキング、スクワット、片足立ちなど、足腰やバランス感覚を鍛える運動を習慣にしましょう。
- バランス訓練: バランスクッションやバランスボードを使ったトレーニングも効果的です。
- 環境整備: 家の中の段差をなくしたり、手すりをつけたりすることも大切です。
骨密度を高めるためには、
- 食事: カルシウム、ビタミンD、タンパク質など、骨の材料となる栄養素をしっかり摂りましょう。
- 運動: ウォーキングやジョギング、筋力トレーニングなど、骨に刺激を与える運動(荷重運動)が効果的です。
- 日光浴: ビタミンDは、日光を浴びることで体内で作られます。
- 薬物療法: 必要に応じて、医師の指示のもと、骨粗鬆症の薬を服用することも検討しましょう。
転倒回避メカニズムを理解し、日頃から対策を行うことで、いつまでも元気に活動的な生活を送りましょう!
それでは皆さん良い一日を。
Have a nice day!
執筆:ごっちゃん(Purple Edge Kochiスタッフ)